勉強をしていると、こんな瞬間があります。
教科書を読み返して「うん、わかる」と思う。ノートを見て「これは知ってる」と感じる。ところが、いざ問題を解こうとすると手が止まる。
この「わかったはずなのに出てこない」という現象、実は多くの人が経験しています。原因は、頭が悪いことでも、努力が足りないことでもありません。「見て思い出せること」と「何も見ずに思い出せること」は、まったく別の力だからです。
見覚えがあるだけで「覚えた」と感じてしまう。これがいわゆる「覚えたつもり」です。
今回は、その落とし穴にはまらないための確認を5つ、まとめてみました。
1. 何も見ずに、説明できるか
最初の確認は、とてもシンプルです。
ノートも教科書も閉じて、白い紙に覚えたことを書き出してみる。
あるいは、声に出して誰かに説明するつもりで話してみる。ぬいぐるみ相手でも、独り言でも構いません。
途中で言葉に詰まったところが、「覚えたつもり」だった場所です。
読んでいるだけのときは、頭の中でスラスラ進んだはずなのに、自分の言葉にしようとすると急に霧がかかる。その霧こそが、今日の勉強で見つかった一番の収穫です。
2. 時間をあけても、思い出せるか
勉強した直後は、誰でも覚えています。直前に見たものは、頭の中にまだ残っているからです。
本当の確認は、少し時間をおいてからです。
- 勉強したあと、お風呂に入って、食事をして、もう一度思い出してみる
- 翌日の朝、前日の内容を何も見ずに書いてみる
- 3日後、1週間後にもう一度試してみる
時間をあけると、思ったより忘れていて落ち込むことがあります。でも、それは失敗ではありません。忘れかけたものを思い出そうとする作業が、記憶を一番しっかり定着させてくれるからです。
「忘れていた」と気づけたなら、その勉強はちゃんと前に進んでいます。
3. 順番を変えても、答えられるか
教科書やノートの通りの順番でなら言える。でも、問題がバラバラに出ると答えられない。これもよくあるパターンです。
順番どおりに覚えていると、前の内容が次の内容のヒントになってしまいます。いわば、頭の中で「前の人の背中を追いかけて走っている」状態です。
確認のやり方はこうです。
- 問題をシャッフルして、ランダムな順番で解く
- 単語カードをまぜて引く
- 章をまたいだ問題を、あえて混ぜて解いてみる
ヒントなしで取り出せる知識が、本当に使える知識です。
4. 「なぜ?」に答えられるか
「答えは知っている」ことと、「なぜそうなるのか理解している」ことも、別のものです。
たとえば、年号や用語、公式をそのまま暗記していても、
- なぜそうなったのか
- ほかの場合ではどうなるのか
- この公式はどこから来たのか
と聞かれると、固まってしまうことがあります。
そこで、覚えたことに対して自分で**「なぜ?」と問いかけてみる**のです。うまく答えられなければ、まだ丸暗記の段階かもしれません。
理由まで言えるようになると、知識がバラバラの点ではなく、つながった線になっていきます。つながった知識は、忘れにくく、応用もききます。
5. 自分の言葉で、言い換えられるか
最後の確認は、教科書の文章をそのまま使わずに説明できるかです。
説明を読んで「わかった気になる」のと、自分の言葉で言い換えられるのは、まったく違います。
- 小学生に説明するとしたら、どう言うか
- 身近なものにたとえるとしたら、何に似ているか
- 一文で言うと、結局どういうことか
こうして言い換えようとすると、理解があいまいな部分がはっきり見えてきます。言い換えられたときは、その知識がちゃんと自分のものになったサインです。
「できない」は、悪いことではない
5つの確認をしてみて、うまくいかなかった部分があったとしても、がっかりしなくて大丈夫です。
確認で見つかった「できない」は、これからやるべきことを教えてくれる地図のようなものだからです。
「覚えたつもり」のまま試験の日を迎えるより、今日のうちに「まだ覚えていなかった」と気づけるほうが、ずっと心強いはずです。
勉強は、たくさん読んだ人が勝つわけではなく、思い出す練習をした人が強くなる。そう考えると、少し気持ちが楽になりませんか。
最後に、5つの確認をもう一度まとめておきます。
- 何も見ずに、説明できるか
- 時間をあけても、思い出せるか
- 順番を変えても、答えられるか
- 「なぜ?」に答えられるか
- 自分の言葉で、言い換えられるか
すべてを一度にやる必要はありません。今日は1つだけ、勉強の終わりにノートを閉じて、何も見ずに書き出してみてください。
その小さな確認が、「覚えたつもり」を「本当に覚えた」に変えてくれます。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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