問題を開いた瞬間、私は固まった。
「え、なにこれ。」
文字は日本語なのに、意味は宇宙語だ。
昔の私は、ここでそっとページを閉じていた。
見なかったことにする能力だけは高かった。
でも今日は違う。
わからないを、ちょっとだけ眺めてみる。
「ふーん、君はそういうタイプか。」
とりあえず敵を観察する。
いきなり倒せなくてもいい。
まずは顔と名前を覚えるところからだ。
一行ずつ読む。
理解度は三割。
でも三割でも、ゼロよりは立派だ。
なぜか少し誇らしい。
途中で「やっぱ無理ちゃう?」と心の声がささやく。
その声には慣れている。
だいたいいつも早めに帰りたがる。
それでも粘っていると、急に「あ、そういうこと?」という瞬間が来る。
この一瞬のために、私は座っているのかもしれない。
理解が追いついたとき、ちょっとだけ世界が広がる。
わからないを楽しむ練習は、まだ下手くそだ。
すぐ焦るし、すぐ逃げたくなる。
でも今日もほんの少し、わからないと向き合えた。
たぶん賢くなる前に、図太くなっている気がする。
それもまあ、悪くない成長だと思う。
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